贈与について考える [1] 生前贈与の活用
相続対策のお手伝いをさせていただくとき、必ず「今までにどのような対策をとられてきましたか?」とお聞きします。ある事実に直面します。「生前贈与」を活用している方が少ないことです。
相談のなかで、「遺産分割」や「納税準備」に関連した質問はしばしばいただくのですが、私のほうから「贈与はされておられますか?」と伺うと、「何もしていない」という回答が非常に多いです。
もう少しつっこんで、「なぜ贈与しないのですか?」と伺いますと、
- 基礎控除が110万円しかない
- 跡継ぎが決まらない
といった理由があるようです。資産家の方々は、贈与申告の基礎控除は「焼け石に水」という感覚をお持ちのように思います。
また、先方の事情として、実家を離れるご子息が多くなっていると見聞します。大学進学や就職を契機に自宅を離れ、その先で生活基盤を築き、実家へ戻られないといったケースです。よって、親御様からすると、贈与に二の足をふんでしまいがちになります。
生前贈与を長期間でとらえてみる
ここで1.の制度上の限度額と2.の事情を、すこし長いスパンで考えてみます。
たとえば、後継者を決めないと与えにくい財産(土地・家屋など)ではなく、流通性のある現金・預金・有価証券などの財産であれば、複雑な事情をあまり考慮しなくても贈与が可能ではないでしょうか?
さらに、贈与の基礎控除額(1年間に110万)といえども、10年で1,100万円、20年であれば2,200万円です。仮に贈与される人が4人いらっしゃれば、10年で4,400万円、20年で8,800万円となります。
そう考えますと、あながち「たかが110万円」とは言い切れないと思います。資産家の方が生前にご自身の意志で財産を分割でき、相続発生時のトラブルを未然に極力回避することも可能です。
相続対策はスキームを組み立てるのが大切です。ただし、スキームを組み立てるにはそれ相応の時間と手間がかかります。そのなかでも、比較的柔軟に進退が対応でき、継続できる生前贈与は、"木を見て森を見ず"のなかの木を植樹して森にしていく役割をはたしていると思います。
相続時に生じるさまざまな負担を、できる限り軽減できる生前贈与に注目されてはいかがでしょうか?
次回は「贈与税の配偶者控除」についてです。
*税金の詳細は当社のグループ会社(税理士等の専門家がおります)、または税理士等の専門家にお尋ねください。
平成18年3月15日 船井財産コンサルタンツ京都 堀田
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