相続税の物納申請の現状
国税庁のHPには、報道発表資料(=プレスリリース)という項目があります。先日、それを閲覧していますと、相続税の物納に関連した発表資料がありました(「平成19年度 相続税の物納申請状況等について」)。たいへん興味深い発表です。
あまり馴染みがない改正ですが、平成18年度税制改正(平成18年4月1日以降より)で物納制度は大改正されました。
- 【改正内容】
-
- 物納不適格財産の明確化
- 物納手続の明確化
- 物納申請の許可に係る審査期間の法定化
- 延納中の物納の選択
- 利子税の負担
この改正によって、物納できない、あるいは物納に不向きな財産が明確になりました。また手続きは原則3ヵ月以内とスピーディな対応へ改められました(改正前は1年以上も係るケースなど)。さらに、物納申請者が「金銭納付や延納が本当にできないのか」を厳しくチェックすると聞いております。
おそらく、国税庁の方も、変化の激しい時代に、金銭納付や延納の推進と物納物件の収納・売却を早期に進めて行くことを狙ったものではないかと思います。
改正後の物納申請件数は激減
物納申請件数は平成6年の約16,000件をピークに小幅の増減を繰り返し、なだらかに減少しています。以下は、直近の5年間の物納申請件数です。
| 直近5年間 | 物納申請件数 |
|---|---|
| 平成15年 | 4,775件 |
| 平成16年 | 3,065件 |
| 平成17年 | 1,733件 |
| 平成18年 | 1,036件 |
| 平成19年 | 383件 |
改正以降、一気に件数が減少しています。
処理未済件数についても、平成14年度までは10,000件近くあったものが、19年度末では859件とこちらも激減しています。
単純に「物納」を敬遠したわけではないでしょうが、この結果から推察すると、改正によって減少傾向に拍車がかかったことを否定できません。
物納申請は事前準備が重要
我々が相続のご相談を受けていますと、納税資金不足のお客様が結構いらっしゃいます。昨年の夏ごろまでなら、「不動産を売却して金融資産を確保」できましたが、秋以降の不景気によって不動産の動きは鈍り、売却も思う様にできなくなりました。それらを反映してか、物納を選択肢に考えたいとおっしゃるお客様は増えてきています。
物納を検討しているお客様には、「物納申請はかなり厳密になってきています。納税手段の1つの方法ではありますが、事前準備をきっちりしないといけませんよ」とお話をしています。「相続税の物納=簡単な手段」といまだ感じていらっしゃるような印象です。
ただし、取扱が厳しくなったといえ納税資金が不足しているお客様には、有効な納税手段の1つには変わりありません。できるだけ早い段階で、専門家に相談し、十分な検討した上で決定すること、また利用する場合は条件整備(境界確定・測量等)を早い段階から進めていくことが重要になると考えられます。
平成21年04月27日 船井財産コンサルタンツ京都 財産コンサルタント 堀田 隆史


