これから賃貸マンションを建てて本当に大丈夫?
建設会社では建物を建てるのが仕事です。幸い、私は前職でもコンサルタントの立場でしたので多くの土地活用と相続対策にもタッチし、時には、この土地には建てない方が良いとアドバイスした事もありました。
「土地活用」つまり不動産から収入を得る方法は地主様の他の不動産や財産を把握した上で、色んな事情を考慮し、最適な計画の立案、提案をしなければなりません。
相続対策の場合は、お子様への財産分割や節税等、深く検討する必要がありますので土地活用も単純にはいかないものです。
そして「賃貸マンション」を建てるだけが、最適な方法とは限らないのです。不動産は立地が命です。その所有土地に合った収入の得方を、あらゆる方法で検討してみなければならないはず。自分の所有地を活用した為に失敗したケースもあります。
「土地活用」には、例えば、医療福祉施設や企業、ホテルへの建物賃貸、定期借地契約による無借金での土地だけの賃貸等もあるのです。立地が悪ければ、より良い立地の不動産への買い替え(資産の買い替え)も有効です。
賃貸マンションがどんどん建てられる.....
しかし、現実は「賃貸マンション」がどんどん建てられ、飽和状態になった地域でさえ、新築なら大丈夫と近年、建て続けられています。そして、建設会社の営業マンも、地主様の置かれている状況をあまり詳しく把握しないまま、熱心にマンション建設を勧めている現状も見受けられます。マンション建設の様な多額の借入金(1億円を超えるような)を要する計画は、甘い事業計画等により、万一、失敗すれば全ての財産を失いかねないリスクもあります。そんな不動産賃貸事業を、どうして、そんなに安易に実行してしまうのでしょうか。
賃貸マンションを建てる理由の例として
- 賃貸マンションを提案されたから建てる
- 相続対策になると聞いたので
- 空いた土地から収入が入るらしいから
- 営業マンが熱心で信用できそうなので建てる
- 大手建設会社なので安心できるのではないか
- 近くにも賃貸マンションが建っている
- 賃貸マンションくらいしか、自分の土地には向いていないので
- 知り合いも賃貸マンションを建てたから
- 一括借り上げの家賃保証で安心なので建て
- 皆、土地のある人はマンションを建てているから.....等々
様々な理由を耳にします。皆で建てれば怖くないという訳でしょうか。
「賃貸マンション」を主な商品として、営業している建設会社からは、賃貸マンションしか提案されない場合もあるでしょう。
また、多くの建設会社や管理会社は「一括借り上げ家賃保証制度」として、お客様を安心させて建設する戦略を展開しています。そして全て任せて欲しいと言った営業も、よく見られます。でも、よくお考え下さい。利益を追求する企業が、家賃保証で損を出してまで他人の不動産賃貸事業を助けてくれるのでしょうか?「事業」にはリスクは付き物です。
賃貸マンション建設は事業
建設会社や管理会社は、お客様の為に損を出すどころか全体的には利益を出しているのです。家賃保証と言えども、家賃の定期的見直しが必ずあります。空室が出たり、家賃相場が下がれば、家賃保証される家賃も下げられるのです。また、一括借り上げ方式なので同じ管理会社等が借り続けて転貸(又貸し)する為、入退室時の礼金や更新料が取れても、地主様には入金されません。
大切なのは、賃貸マンション建設も「事業」なのです。当然、経営者としての手腕が問われます。事実、家主さんの考え方ひとつで、随分、賃貸収入や経営に違いが現れる事を体験してきました。
例えば、常に掃除や修繕を行い、綺麗なマンションを維持する経営者の物件は空室が少なくなっています。その反対の事例も多くあります。
マンション建設は多くの場合、借入金の返済期間は30年位と長期に渡ります。
これから30年先の事は、正直、分からない事だらけです。
30年後と土地活用
ただ、今の金利は超低金利、そして賃貸マンションの家賃は建物が古くなったり、ライバルが現れると値下がりする、これ位は、今の時点でも分かる事です。
30年後、人口の減少が、どうなるのでしょう。労働者の人口(15〜64歳)は今の約3割減ります。当然、企業の数も減少するでしょう。
また世帯数と住宅の戸数を見てみると、平成15年の調査で、1世帯当たりの住宅戸数は1.14戸となっており、総住宅戸数が総世帯数を上回り、空家の増加が続いています。今後、益々家が余り始める状況では、この先、余程良い立地でない限り、空室が出る可能性が高くなります。
借入金の金利が上昇すれば、返済額も上昇し、経営が苦しくなります。
これからの土地有効活用は先が見えにくく、難しくなっています。私どもも、自ずと慎重にコンサルせざるをえない時代です。本当に「賃貸マンション」を建てるのが最適の立地で、最良な方法なのか、考えられる全ての手法を検討した上、より慎重に事業計画をたて、少しでもリスクを少なくした不動産賃貸経営が求められると考えます。
余裕のない計画や勧められるままの土地活用は、やめた方が良いでしょう。でなければ、次の世代に大きなツケを残すことになるのです。
平成21年05月08日 船井財産コンサルタンツ京都 財産コンサルタント 半田 哲哉


